モンテッソーリ教育環境における特徴
(1)縦割りクラスの構成
3・4・5歳児の混合クラス、1・2歳児の混合クラス、というように異年齢の子どもたちが同じクラスの構成員になります。これにより、年下の子には、なんでも上手にできる年上の子たちの「見本」がクラス内に常に存在するという利点があり、年上の子は弱者である年下の子に優しく接したりお世話したりするという機会を得られるなど、多くの異年齢集団のプラスの相乗効果があります。結果、モンテッソーリ園に子を通わせる多くの親たちからの指摘にもあるように、自ら「成長したい!」と願う「人にやさしい」子どもたちが育ってくるのです。
(2)自己選択活動
発達の過程における「敏感期(臨界期)」を重視し、「子どもの発達は子どもが一番知っている!」という児童観のもと、従来の教育のように大人側でその日の子どもの活動を決めてしまうということはせず、それぞれの子どもが「自分で」その日の活動を「選ぶ」というスタイルで過ごします。よって、クラス内には「絵を描いている子」「お料理をしている子」「お掃除をしている子」「本を読んでいる子」などなど、いろいろな活動が同時に展開されています。
(3)自立
モンテッソーリのスローガン『ひとりでするのを手伝ってね!』の掛け声のもと、子どもの「自分でやりたい!」という気持ちを大きく尊重し、大人は「やってあげる」のではなく「やってみせる」という関わり方を基本としています。また子どもでも大いに「生活に参加」させるよう配慮するため、お手伝い上手で生活すること自体を楽しみ、「有能感(ボクできる!)」「有用感(私って皆の役に立つ人間!)」、ひいては「高い自尊心」をもつ人間を育てていきます。
(4)運動の教育
モンテッソーリ環境内には、『日常生活の練習』とよばれる分野の掃除・洗たく・クッキングなど日常に使う様々な用具のほか、『数』や『言語』にかかわる知的な活動など数々の活動が準備されています。そして、これらほとんどの活動が「動き」、特に「手の動き」を促すものとなっています。精神科医であり脳神経系の発達を重視していたモンテッソーリは、この「子どもは動きながら学ぶ」ことこそが子どもの「発達の秘密」のひとつであり、大人は子どもの「動き」をなるべく干渉しないように関わることが重要であると言っています。
〈文・大原青子〉